「統計学 (サイエンス・パレット)」読んだ。

単なる読書メモ。
購入のきっかけは、訳者が上田さんだからというわりとしょうもない理由。
想定読者は統計初学者/やりなおしのあたりと推定。

内容を三行でまとめると、
  • 統計の考えの部分に重点を置いて
  • その都度分かりやすい例を挙げながら一切の数式を用いず
  • 統計の基礎的諸概念と動機について解説してる
良いと思ったところ

本当に基礎の基礎だけど、諸概念の説明と例示がされていて、何もかもが分かりやすい。
訳文も大変読みやすく、あわててその辺の素人を捕まえて無理矢理訳させたようなものが散見される昨今、珍しいくらい良心的だと思った。
また、ベイズ的な考え方についてもきちんと押さえていて、紹介のタイミングもよく(例えば点推定の説明の際に)動機に納得がいきやすい。
後半ではGLMやHMM、ブートストラップやMCMCのような比較的高度(?)な道具立てについてもごく触り程度だが紹介されている。
これは、読者が各人の興味や必要に応じて、それらのキーワードを元に次のステップへ進みやすいようにとの配慮だろう。
大変良い本。これから統計を道具として使う為に学ぶというなら、このような考え方と動機に重点を置いた本を先に読むか、併読した方が有益な結果が得らるように思った。

少し気になったところ

数式にアレルギーが無い人にとっては、数式無しは逆に辛かろうと思う。
文字いっぱいで少しのことを言うのに結構言葉を尽くしているのだけれど裏目に出る層はいると思う。 多分そういう人は想定読者じゃないので、読んでも仕方が無いかもしれない。
また、後半の高度な道具立てのあたりはキーワードの羅列気味になっていて少し押し込め過ぎかなぁとも思った。

総括

とても良い本と感じた。このように動機と考え方に根ざした書籍だと、
最近読んだ「エンジニアの為のデータ可視化[実践]入門」もその類いかと思う。そちらも良い本。
ただし、(Ω, F, P)の三つ組みと日夜戦ってらっしゃる方々とってはあまり意味が無いですよ、と。

類書の煽り文句に負けず、マジョリティを獲得して欲しいなと思いましたとさ。