「沈黙のことば」読んだ

 説明の必要が無いほど有名な異文化コミュニケーションについての古典。
high(low)-context cultures という概念を提唱したことで有名なエドワード・T・ホール先生の一冊(この本で直接の言及はない)
ご本人自身アメリカ人であるホール先生は、外国人とのコミュニケーションの際にアメリカ人はその自己文化中心主義から摩擦を生じやすいと考え、その解消には、特に明文化されていない暗黙のコミュニケーションへの理解が重要であるとしている。具体的な異文化コミュニケーションの失敗例、アメリカ文化との対比を織り交ぜながら、暗黙のコミュニケーションやルールがあるかを分析する本。
今になっては割と普通にいわれていることに読めるが、当時(50年も前)は一大センセーションだったそうな。

 もちろん今でも重要な考えだし、当然必要なことだが、一方で実行するのは極めて難し医用に思える。例えば、これは有名な話だけど、タイでは子供の頭を撫でると周りの人に怒られる。が、そんなこと日本人は大抵知らない。仮に知っててもついやっちゃう。加えて事前に調べるにしたって限度がある。
 じゃあどうするのがベストだろう。個人的な考えとしては、事前に調べるのは当然として、自分はこちらの文化にあまり馴染みがないので、是非教えてください、失礼があれば是非指摘し、助けてください、という関係を作れれば良いのでは、と考えた。
 このような態度は日本人特有のへりくだりの文化で、それこそ自国中心主義的なのかもしれない。ビジネスのような場でそれができるかも微妙なところな気もする。難しい。現代でマジョリティを得ている意見を知りたいところ。

 ところで、出版後50年経って、結局のところアメリカ人はアメリカの文化をTVやインターネットという形で輸出し、全体を馴らすことに成功したように思える(もちろん場所によるし、単なる思い込みかもしれない)。自分としてはその態度については全くニュートラルで、意見はない。ただ、多分このままこの形でマクロとしては進め続けるんだろうなあと思っている。ホール先生の意図とは少し違う形だけど、これはこれでひとつのやり方かもしれないなぁと思った。